俺の数学ブログ

数学に関することしか書きません笑笑

位相を入れるとは何か?

台集合に演算を入れて群とみなしたり、位相を入れて位相空間とみなしたり、あるいは可測集合に測度を入れて測度空間とみなしたり、、、

数学において集合は様々な見方が得られるわけです。今回は中でも位相空間について見ていきましょう。

位相と言ってもたくさんあります。距離から定まる位相、離散位相、密着位相、相対位相、商位相、積位相、、、

他にもたくさんありますが、これらの位相はなぜ必要なのでしょうか?

 

結論から言うと集合に開基を定義して、連続写像を考えるためです。ではなぜ連続写像を考えるのでしょう?

連続写像を考えるメリットとして、例えば有限部分被覆であるコンパクトすなわち穴の数が有限な集合上では連続関数は最大値・最小値を持ち、一様連続になります。

つまり位相を定義することで、連続関数を考えられれば、その位相空間上でリプシッツ連続、ヘルダー連続や連続的微分可能性などある意味解析的なことも考えることができるかもしれないのです。すなわち位相とは代数学解析学幾何学それぞれを繋ぐ必要不可欠な架け橋の様なものだと私は考えています。

 

任意の台集合に対して、開基を定義できれば位相が生成され連続写像を考えることができます。それではその位相がどの様ならば連続写像を考えることができるのでしょうか?

それはその集合の構造によります。考えている集合がある集合とある集合の直和かもしれませんし、あるいは無限直積かもしれません。

 

連続写像を作る為の位相を考えましょう。

もちろん位相空間の定義から分かる様に、ドメインに最強の位相「離散位相」を入れるのであれば、任意の像の引き戻しは絶対に開基で生成されます。

逆にコドメインに最弱の位相「密着位相」を入れるのであれば、その像の引戻しは自明なものですので連続になります。

 

つまり、ドメインの位相が強ければ強いほど、コドメインの位相が弱ければ弱いほど、その間の写像は連続になりやすくなります。つまり開集合の粗さが連続性の鍵を握る。

 

それでは、すでにある位相空間から位相空間を作り、その上での写像が連続になる為にはどうすれば良いかを考えよう。

例えばドメイン位相空間から部分集合をとり、その部分空間からの写像が連続になる為、つまり、部分空間に弱い位相を入れよう。これは逆像位相(始位相)の部分集合への制限を与えれば良い。始位相の定義を念のため載せておく。

 

Def. 始位相

Zを集合とし、 位相空間の族を考え、写像の族

f _ { \lambda } : Z \rightarrow X _ { \lambda }

を考える。このとき、全ての \{ f _ { \lambda } \} _ { \lambda \in \Lambda }を連続にする最弱の位相をZ の始位相という。

 

この様にすれば、開集合の開集合を考えることができ、さらにそれは開集合となる様にできるので、新しい位相空間を構成できたことになる。

写像の定義域が変わってもそれに変わる相対位相を入れれば連続になるのだ。この様に相対位相とは、包含写像を連続にする最も弱い位相として定義される。

ちなみに直積位相は各成分への射影を連続にする最も弱い位相を入れており、商位相は自然な全射を連続にするコドメインの最も強い位相である。

つまり一方の集合に位相が与えられていれば、その間の写像を連続にする様に、他方の集合にも誘導位相を定めることができるのです。この様に連続射を定め、圏論で言ういわゆる普遍性が成り立っているのである。