中学道徳教育指導要領解説
道徳教育の歴史
以降、学校教育法や教育基本法によって年間35時間どうとかの時間を設けることを定められている。
第1章 総則
ー道徳の意義ー
道徳教育とは人間が本来もっている願いや、より良い生き方を求め実践する人間の育成を目指し、その基盤となる道徳性を養う教育活動である。
ー道徳ー(第三章内容にも示している)
①自分自身との関わり…自律や自由を前提とし人格の基盤を成す
②他人のと関わり…人と人との関係の中で望ましい生き方を意味している。
③社会との関わり…人間社会の中で人間らしく生きる。
④人間と自然や崇高なものとの関わりを含む
ー道徳性ー
①道徳的行為を可能にする人格的特性であり、人格の基盤を成すもの。
②生まれた時から身につけているものではない。人間は道徳性の萌芽を持って生まれてくる。道徳性の発達には次の点に留意する必要がある。
(あ)よりよく生きる力を引き出すこと…見つけて褒めてその気にさせる。自らの中によりよく生きようとする力があることに気づかせる。
耐性をつける…快、不快な感情が認識できれば、それを基準にして行って良いことと悪いことに気づく。
(い)関わりを豊かにすること…豊かな関わりを発展させて行くこと。人間的なふれあいの輪
を広げていく。主な関わりは自分自身、他の人、自然や崇高なもの及び集団や社会が考えられる。
(う)道徳的価値の自覚を深めること…道徳性の発達は基本的には他律から自律への方向をとる。
ー社会全体のモラル低下への対処ー
●大きな影響を与えている社会的風潮
①個人の利害損得を優先させる。
②責任感の欠如
③物質的な価値や快楽の優先
④真摯な努力の軽視
⑤目先の利便性や効率性の重視
⑥人付き合いの希薄化!!
●モラル低下の原因は以下のような問題点
①家庭の教育力…核家族化、過度な期待、過保護、信頼のしすぎ、少子化
②地域の教育力…近所付き合いの希薄化、遊び場、友達付き合い、ガキ大将の存在、無関心
③社会の教育力…スマホ、PC、SNSゲーム、物質主義、メディア
④学校の教育力…間違った学力中心主義、教師の指導力不足(わかる楽しい授業にするべき)、多忙、人間的魅力
第2章 道徳の目標
ー道徳の時間の目標ー
道徳教育の要として、計画的・発展的な指導によって補充、深化、統合し、道徳的価値及びそれに基づく人間としての生き方についての自覚を深め道徳的実践力(人間としてのよりよく生きていく力)を育成する。
ー道徳教育の目標(総則より)ー
●主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して生徒に生きる力を育むことを目指す。
●道徳教育や体験活動、多様な表現や鑑賞の活動等を通して豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めること。
●道徳教育を進めるにあたっては人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念をを家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中で生かし、豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、平和で民主的な国家及び社会の形成者として、公共の精神を尊び、民主的な社会及び国家の発展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し、未来を拓く主体性のある日本人に資することとなるように特に留意すること。
ー道徳教育の時間の目標ー
以下のような道徳性を養うこと!
①道徳的な心情…道徳的価値の大切さを感じとり善を行うことの喜び、悪を憎む感情
②道徳的な判断力…それぞれの場面に応じて善悪を判断する能力
③道徳的な実践意欲と態度…上2つによって価値があるとされた行動を取ろうとする傾向性
④道徳的習慣…基本的な生活習慣
第3章 道徳の内容
ー内容の基本的性格ー
関連的・発展的な取り扱いの工夫をする。関連性を持たせ、発展性を考慮して内容項目の効果を高めることができる。
ー内容項目の指導の観点ー
①主として自分自身に関すること
⑴望ましい生活習慣を身につけ、心身の健康の増進を図り、節度を守り節制に心がけ調和のある生活をする。
(…望ましい生活習慣を身につけることが充実した人生を送る上で欠かことのできないものであることを生徒自らが自覚を出来るようにする)
⑵より高い目標を目指し希望と勇気を持って着実にやり抜く強い意志を持つ。
(…具体的な生活の中で目標を達成した経験を振り返らせたり、日常的な努力で達成できる目標を持たせたりする)
⑶自律の精神を重んじ、自主的に考え、誠実に実行してその結果に責任を持つ。
(…事故の尊厳に気づき何が正しく何が誤りであるかを自ら判断して望ましい行動がとれるようにする)
⑷真理を愛し、真実を求める、理想の実現を目指して自己の人生を切り拓いていく。
(…分からないことを謙虚に受け止めて探求し続け、真理や真実を求めつつ生きることについての意味を見出し目標をもち、よりよく生きようとする積極的な態度をそだてること)
⑸自己を見つめ、自己の向上を図るとともに、個性を伸ばして、充実した生き方を追求する。
(…かけがえのない自己をまずは肯定的に捉えるとともに(自己受容)、自己の優れている面などの発見に努め(自己理解)、自己との対話を深めつつさらに伸ばしていくようにする)
②主として他人との関わりに関すること
⑴礼儀の意義を理解し、時と場に応じた適切な言動をとる。
(時と場に応じた適切な言動を体感的に学習するとともに形の根底に流れるその意義を深く理解できるようにすること)
⑵温かい人間愛の精神を深め、他の人々に対し思いやりの心をもつ。
(単に思いやりの大切さに気づかせるだけでなく、根本において自分も他人も、ともにかけがえのない人間であるということをしっかり自覚するようにする)
⑶友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち互いに励まし合い高め合う。
(その場だけの関心や自分に都合のいい相手とだけの狭い範囲に止まることなく、さらに視点を広げ積極的に生涯にわたる尊厳と信頼に支えられた友情を育てるように配慮する)
⑷男女は互いに異性についての正しい理解を深め相手の人格を尊重する。
(真剣に異性の持つ見方や考え方を知るように心がけることが必要であり。それを基に自分の異性に対する姿勢を見直すきっかけとなるように指導する必要がある。)
⑸それぞれの個性や立場を尊重し色々なものの見方や考え方があることを理解して、寛容の心をもち謙虚に他に学ぶ。
(自らの意思に背いて他に同調するのではなく、多様な個性を認め、それぞれの差異を尊重するという態度を育てる)
⑹多くの人々の善意や支えにより日々の生活や現在の自分があることなら感謝しそれに応える。
(多くの人々の善意や支えにより日々の生活が成り立ち現在の自分があることを踏まえ、それに対する感動や喜びが自ずと感謝の心となって表出されるものであることについての理解を深める)
③主として自然や崇高なものとの関わりに関すること(解説省略)
⑴生命の尊さを理解しかけがえのない自他の生命を尊重する。
⑵自然を愛護し美しいものに感動する豊かな心をもち人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深める。
⑶人間には弱さや醜さを克服する強さや気高さがあることを信じて、人間として生きることに喜びを見出すように努める。
④主として集団や社会との関わりに関すること
(解説省略)
⑴法や決まりの意義を理解し尊守するとともに、自他の権利を重んじ義務を確実に果たして社会の秩序と規律を高めるように努める。
⑵公徳心及び社会連携の自覚を高めより良い社会の実現に努める。
⑶正義を重んじ、誰に対しても公正公平にし、差別や偏見のない社会の実現に努める。
⑷自己が属する集団の意義についての理解を深め、役割と責任を自覚し集団生活の向上に努める。
⑸勤労の尊さや意義を理解し奉仕の精神をもって公共の福祉と社会の発展に努める。
⑹父母、祖父母に敬愛の念を深め、家族の一員としての自覚を持って充実した家庭生活を築く。
⑺学級や学校の一員としての自覚をもち教師や学校の人々に敬愛の念を深め協力してより良い校風を樹立する。
⑻地域社会の一員としての自覚をもって郷土を愛し社会に尽くした先人や高齢者に尊厳と感謝の念を深め、郷土の発展に努める。
⑼日本人としての自覚をもって国を愛し、国家の発展に努めるとともに優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献する。
⑽世界の中の日本人ととしての自覚を持ち国際的視野に立って世界の平和と人類の幸福に貢献する。
第4章 道徳の指導計画
第5章 道徳の時間の指導
ー教材の要件ー
●人間尊重の精神にかなうもの
●狙いを達成するのにふさわしいもの
●生徒の興味関心、発達の段階に応じたもの
●多様な価値観が引き出され深く考えることのできるもの
●特定の価値観に偏しない中立的なもの
●生徒の感性に訴え感動を覚えるようなもの
●人間の弱さやもろさに向き合い生きる歓びや、勇気を与えられるもの
●生や死の問題、先人が残した生き方の知恵など人間としてよりよく生きることの意味を深く考えることができるもの
●体験活動や日常生活をふりかえり道徳的価値の意義や大切さを考えることができるもの
●悩みや葛藤等なら心の揺れ、人間関係の理解等の課題について深く考えることができるもの
●多様で発展的な学習活動を可能にするもの
第6章 教育活動全体を通じて行う指導
ー指導の基本方針ー
⑴各教科、領域の特質に応じた道徳性の育成
⑵人間関係の充実(共育、協育)
⑶人間としての生き方の自覚を深める(個性)
⑷体験活動の充実
⑸基本的なモラルについての指導の充実
⑹環境の充実、整備
ー道徳教育と総合的な学習の時間ー
その他